津軽塗(青森県)
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ブナコ・スピーカー(青森県)
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二唐刃物鍛造所(青森県)
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津軽塗眼鏡(青森県)
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美しさ、耐候性 お墨付き 青森県産スギ使った木製サッシ製造/「日本の窓」(十和田) 

今春、牧場に隣接した十和田市八斗沢の広々とした大地に延べ床面積約2800平方メートル、国内最大規模の生産能力を誇る木製サッシ工場が完成した。同市出身の中野渡利八郎氏が会長を務める住宅メーカー「東京組」(本社東京)が全額出資して設立した、県と市による誘致企業の木製サッシメーカー「日本の窓」(同市)の十和田工場だ。
「5年以内に日本からアルミサッシをなくし、木製サッシにしなければならない。建築屋としての執念がある。ほかの先進国はみんなそう。この工場の木製サッシで美しい街並みをつくるのが究極の目的だ」
5月に開かれた落成式で、中野渡氏はあふれる意気込みをこう語った。

木製サッシを「十和田から全国に広めたい」と語る杉山工場長

▼シェア2割以下
国内のサッシ市場では現在、木製サッシのシェアは2割以下。日本は元来木製の建具が主流だったが、高度経済成長期に安価で製造しやすいアルミサッシにシフトした。
欧米では木製サッシが主流。アルミは原料のボーキサイトから製品化までに消費するエネルギー量が大きいことなどから、米国では環境負荷の観点でアルミサッシの使用が禁止されている州もあるという。
「日本の窓」の佐藤正志商品開発部長によると、木製サッシはほかに(1)温かみのある美観(2)木の熱伝導率はアルミの約1200分の1で、外気の温度が室内に伝わりにくく結露が起こりにくい(3)使い込むほど味が出る-などの長所がある。
同工場は県産のスギ材が原材料。中野渡氏が小山田久十和田市長と懇談した際、「十和田湖畔に針葉樹であるスギはふさわしくない」という話題が出て、スギの間伐材を使うことで、広葉樹を植えるきっかけになればと採用した。
スギは「軟らかく、傷付きやすい」というマイナスのイメージが木材加工業界内には根強い。それをカバーしたのが塗料の「液体ガラス」だ。
塗料には、メンテナンスが容易だが耐久性に欠ける含浸(がんしん)系、メンテナンスが難しいが耐久性に優れる塗膜系があるが、液体ガラスは両方の特長を兼ね備える。
同社の液体ガラスはナノレベルの粒子が木の導管にも浸透する。水を通さず、空気は通す性質があり、スギの長所である断熱性能を残しながら弱点の吸水性を克服。風雨や日照、寒暖差にさらされても劣化しにくい「耐候性」を獲得した。
5月の落成式以降、同工場には全国の森林組合や木材加工業界関係者の見学者が相次ぎ、千人を超えた。杉山康夫工場長は「みんな最初は『スギを使うなんて』と半信半疑だが、実際に工場を見学し、製品を見て『これは欲しい』と言ってくれる」と胸を張る。

生産過程で出たおがくずなどを「ブリスケット」に成形し、まきストーブの燃料として出荷する

▼産業廃棄物なし
また同工場は木材に由来する産業廃棄物が一切出ない。生産過程で出るおがくずを集め、「ブリスケット」と呼ばれる塊に成形し、まきストーブ用の燃料として販売する予定だ。「森を大切に-がキャッチフレーズですから」(杉山工場長)という。
現在、親会社東京組の物件向けなどに生産している。フル稼働で1日当たり60窓、住宅4棟分の生産体制を目指している。杉山工場長は「十和田から全国に広めていくのが、社員の願い」と話す。
「日本の窓」の木製サッシブランド「MADOBA」(マドバ)は、本年度のグッドデザイン賞を受賞した。製品の良さはもとより、国産材のスギを使うという生産過程を含めて評価を受けた。「戦後植林した木がちょうど切り時。切らないと森が死んでしまう。うまくサイクルを回し、もっと木製サッシの市場規模を大きくできたら。チャンスはある」。佐藤部長は力を込める。

(2017年11月5日付朝刊 東奥日報掲載)


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