たたら製鉄(島根県)
たたら製鉄(島根県)
石州和紙(島根県)
石州和紙(島根県)

駆除イノシシ通年活用 革商品開発や食品加工 松江の工房が事業多角化

革製品の製造、販売を手掛ける「革工房シエロ・スカーラ」(松江市東出雲町揖屋、広江昌晴社長)が地元の猟友会や食品加工の専門家と連携し、駆除したイノシシを活用した新規事業に乗り出す。皮革を使って手帳ケースなどの商品開発を進めるほか、脂身が少なく従来は処分するだけだった夏場のイノシシ肉を加工食品として販売する計画。年内をめどに解体処理する施設を整備し、将来的には全県からイノシシを仕入れて商品化したい考えだ。

駆除したイノシシを活用した新規ビジネスを構想する広江昌晴社長=松江市東出雲町揖屋、シエロ・スカーラ

10年前に起業した広江社長(48)は、牛革などを使ったバッグや小物を製作。地域で駆除される鳥獣を資源化しようと、県内の猟師から提供を受けたイノシシやシカの革を使った商品も手掛けてきた。ただ、猟師が皮を剝ぐ手間などから、安定的に原料を仕入れるのは難しかったという。

山間部などでイノシシによる農作物被害が問題となる中、広江さんの活動に共感した東出雲町内の猟師が原料供給で協力。食品加工技術に詳しい専門家も厄介者を地域振興に活用しようとの発想に賛同した。

革製品は、イノシシに子宝や長寿の意味があることから、母子手帳入れや高齢者手帳、診察券のケースなどの商品化を想定。肉は、脂身が減って硬くなる夏場は大半が埋設処分されているが、有効活用するため、脂を人工的に加えたり乾燥したりして、そぼろなど日持ちのする食品に加工する。冷凍保存用のストッカーを導入するなどし、安定的な調達につなげる。年内をめどに、持ち込まれた皮や肉の処理施設を東出雲町内に整備する計画。

将来は全県から仕入れ

今後は、猟友会のネットワークなどを生かし、県内他地域で駆除されたイノシシを提供してもらえるよう働きかけたい考えで、製造・販売体制を整えるため、法人化も検討する。広江さんは「命を無駄なく使う大切さを多くの人に伝えていきたい」と話した。

島根県森林整備課鳥獣対策室によると、2016年の県内の鳥獣被害額は7382万円。このうち、イノシシが約8割の5989万円を占める。

県内では美郷町が、駆除したイノシシを生産組合が引き取る仕組みをつくるなど組織的に活用を図っているが、県東部での取り組みは珍しいという。

(2017年11月20日付 山陰中央新報掲載)

 


各県ものづくりスタイル 世界初の抵抗器素材開発 合金濃度で値を調整、小型・軽量化可能に 島根大・和久名誉教授ら研究 各県ものづくりスタイル 認知症の兆候 AⅠで診断 19年実用化目標 松江の企業、島根大など共同研究