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各蔵元 相次ぎ商品展開 山陰の地酒を欧州へ 和食ブーム、関税撤廃見据え

パリで開かれた展示会で来場者に自社商品を紹介する吉田酒造の社員(左)(同社提供)

ブランド力強化へ攻勢

山陰両県の蔵元が、フランスやドイツなど欧州に地酒の輸出を拡大させている。人口減に伴う国内消費の減退を見据え、和食ブームで需要が拡大する欧州に攻勢をかける。2019年には欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)に基づき日本酒の関税が撤廃される予定で、各蔵元が現地の展示会への出展などで取引拡大やブランド力の強化を目指している。

「これがライスワイン(日本酒)です」。10月にパリであった展示会。吉田酒造(安来市広瀬町広瀬)の社員が、フランス人バイヤーに自社銘柄「月山」の試飲を勧めた。

同社は16年に欧州輸出を本格開始。国内の需要減を前に、輸出実績のある米国やアジア以外の取引を軌道に乗せる必要があると判断した。吉田智則社長は「欧州では酒と食事との相性が重視される。日本酒はワインと同様、食事に合わせて複数の選択肢があり、開拓の余地はある」と語る。展示会後、現地の商社や飲食店から引き合いがあり、手応えをつかむ。

島根県によると、県内のアルコール飲料などの輸出額(15年)は5年前と比べ、フランスが約4倍の340万円、ロシアが約2倍の220万円、ドイツが約1・4倍の160万円に拡大。和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことなどで現地の日本食レストランが増加しており、各蔵元が新市場として開拓を進める。19年には100リットル当たり7・7ユーロかかる関税もなくなるため、輸出はさらに伸びる見通しだ。

古橋酒造(島根県津和野町後田)は自社ブランドの強化を目的に9月、ベルリンへの出荷を始めた。3年前に輸出を始めた台湾で、日本の大手酒造会社の参入により取引額が減少傾向にあるのを踏まえ、競合が緩やかなベルリン進出を決めた。

第1弾の輸出額は約50万円と小規模だったが、古橋貴正社長は「欧州での取引実績はブランド力向上につながり、日本での販売にプラスになる」と強調。現地の市場調査を行い、商社などへの営業を強める。

フランスや英国向けに地酒を出荷する千代むすび酒造(境港市大正町)は、シャンパンを意識して今冬発売した発泡性清酒も加えオランダなどに販路を広げる方針。売上高の約2割を占める海外販売を5年後に3割に増やす計画という、岡空晴夫社長は「輸出量全体の上積みのためには欧州での取引拡大が欠かせない」とした。

10年前から純米吟醸などを欧州に輸出する李白酒造(松江市石橋町)は、品質管理や適正価格の販売にこだわる現地の飲食店や酒販店選びに注力する。輸出が拡大する中、粗悪品が流通すれば、地酒の評価を低下させかねないと危惧するためだ。田中裕一郎社長は「日本酒は日本固有の大切な文化だ。10年、20年後を見据えて普及を図りたい」と力説した。

(2017年12月27日付 山陰中央新報掲載)

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