津軽塗(青森県)
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ブナコ・スピーカー(青森県)
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二唐刃物鍛造所(青森県)
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津軽塗眼鏡(青森県)
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ブランドの活用 素材の良さに付加価値

鈴木農場の嶽きみを使ったスープとサイダーを手にする清藤社長(左から2人目)、鈴木大賀さん(同3人目)と、栄研の岩間さん(右)、蒔苗さん

給食や弁当宅配サービスなどを手掛ける弘前市の「栄研」が2017年春に発売した「最中(もなか)で包んだ嶽きみスープ」は、同市常盤野地区の鈴木農場で取れた嶽きみを使って作られる。嶽きみの特長である甘みが存分に生きた濃厚な味わいのヒントとなったのは、嶽きみ農家の食卓によく上るという手作りのコーンスープだ。
素材の良さを一番分かっている農家の「家庭の味」を再現し、通年で嶽きみを味わえる商品を作りたい-と、栄研が1年半の試行錯誤を経て完成させたスープに、鈴木農場の3代目・鈴木大賀(たいが)さん(43)も太鼓判を押す。栄研の清藤崇社長(47)は「もともと価値のある素材に、どんな付加価値を付け、魅力をどううまく伝えるか。こだわって、丁寧に形にした」と自信をのぞかせる。

栄研が鈴木農場の嶽きみを使って開発したスープ。トウモロコシの形をしたもなかの皮には嶽きみパウダーが入っており、お湯などで溶かすと濃厚なスープが出来上がる

嶽きみは、岩木山麓の弘前市常盤野地区で生産されるトウモロコシで、今や全国でもその名が知られるようになった。栽培の歴史は約60年前にさかのぼる。
鈴木さんによると、戦後、開拓のため16戸、約100人が同地区に入植した。その団長だった鈴木さんの祖父・故春雄さんがトウモロコシの栽培に成功し、その技術を地区住民に伝えていったという。
その後、トウモロコシを栽培する農家は増加。次第に「嶽きみ」の名前も定着し、07年には特許庁に地域ブランドとして商標登録が認められた。
「お互いが持っているいい素材、いい技術を使っていいものを作ろう」。新商品の開発は、以前から親交があった鈴木農場の2代目・健(たけし)さん(71)と、栄研の現会長で清藤社長の父・慧(けい)さん(77)が3年ほど前に交わしたそんな会話から始まった。
「小さかったり、虫が付いたりした規格外品は捨てるしかない。どうにかしたいというのが農家の悲願だった」と大賀さん。自前で加工施設を準備するのは金銭的に難しかったという。一方、栄研は持ち前の食品加工のノウハウを使って、地元の素材に光を当てたいとの考えがあった。
栄研は県産業技術センターの助成事業を活用し、鈴木さんの自宅で飲まれていた手作りのコーンスープにヒントを得た新商品づくりに着手。同社事業開発部の岩間憲一部長(58)と蒔苗左右子さん(45)が中心となって試作を重ねる中で、フリーズドライしてからパウダー(粉末)状にした嶽きみをもなかの皮で包んだ現在の形に行き着いた。お湯や温かい牛乳でもなかと嶽きみパウダーを溶かすと、適度なとろみのある理想のスープが出来上がった。
17年4月に1個500円(税込み)で発売し、現在、青森市と弘前市のほか、東京駅や名古屋市にも販路を広げている。
加工は県外の業者に委託しているが、栄研は、嶽きみの皮むきから実を芯からそいで冷凍するまでの1次加工を自社で行うことを検討している。清藤社長は「コストが削減できるし、いい素材を扱っているという従業員の自覚や責任にもつながる」と考える。
17年7月には嶽きみを使ったサイダーも発売。さらに、現在は廃棄している芯やひげを使った菓子やお茶も開発中だ。
大賀さんは「(栄研は)わたしたちが嶽きみにかけてきたものと同じくらいの情熱を持って向き合ってくれている。生産者が思いつかないアイデアで、積極的にやってくれるので頼もしい」と信頼を寄せる。
「ただ設備投資して事務的に商品を開発し販売するのではなく、嶽きみが育つ環境やブランドになるまでの背景など、本当の価値を理解しながら着実に前に進んでいきたい」と清藤社長。岩間さん、蒔苗さんと「嶽きみの名前を汚さない商品作りをしよう」と心に誓い合っている。
(2018年2月2日付朝刊 東奥日報掲載)


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