たたら製鉄(島根県)
たたら製鉄(島根県)
石州和紙(島根県)
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3昼夜の結晶 姿現す 奥出雲・日刀保たたら鉧出し

赤黒く燃えながら姿を現した鉧=島根県奥出雲町大呂、日刀保たたら

国内で唯一、日本古来の製鉄技術のたたら製鉄を営んでいる島根県奥出雲町大呂の日刀保たたらで3日朝、砂鉄が溶けてできた塊を取り出す「鉧(けら)出し」があった。3昼夜72時間にわたって操業した炉を解体すると、日本刀の原料となる玉鋼を含んだ約3トンの鉧が熱気とともに出現した。

日刀保たたらは日本美術刀剣保存協会(東京都)が運営し、操業は今季2回目。1月31日に始まり、村下(技師長)の木原明さん(82)ら13人が粘土製の炉に砂鉄10トン、木炭12トンを入れて燃やし続けた。

最終工程の鉧出しは、技術者ら100人以上が見守った。木原さんらが大かぎや小かぎなどの道具を使って炉を崩し、幅1・1メートル、長さ3メートル、厚さ25~30センチの鉧が火花を放ちながら現れ、赤黒く輝いた。

木原さんは「形がきれいな鉧に仕上がった。裂いたら刀づくりにふさわしい良質な玉鋼が出てくる」と話した。

鉧は破砕した後、含んでいる玉鋼を等級ごとに区分し、全国の刀匠に供給する。今季最後となる3回目の操業は7~10日にある。

 たたら職人の姿に感動 首都圏技術者が見学

首都圏の製造業で働く20~30代の若手技術者が会社の垣根を越えてつくる勉強会「エンジニア志塾」の塾生37人が、1日から3日間の日程で島根県奥出雲町で合宿を行った。国内で唯一、日本古来のたたら製鉄を営む同町大呂の日刀保(日本美術刀剣保存協会)たたらの操業を見学し、団結して最高の品質を追求する、ものづくりの心や技を学んだ。

たたら製鉄の鉧出しの視察や講話の感想などを話し合う塾生ら

同会の奥出雲合宿は今期が3度目で、参加者は大手のパソコン製造やタイヤメーカーなど6社に勤める。1千年以上の歴史を持つたたらの世界に触れて自らを振り返り、仕事に対する価値観や意義を見つめ直すきっかけにしようと訪れた。

一行は1日、たたら製鉄が操業された高殿が現存する菅谷たたら(雲南市吉田町吉田)などを見学。2日は日刀保たたらの操業を見た後、3日には炉を壊し、砂鉄が溶けてできた鉧(けら)を取り出す鉧出しを視察。奥出雲町横田の雲州そろばん伝統産業会館で、資源・環境ジャーナリストの谷口正次さん(80)=東京在住=らの講話も聞き意見交換した。

岡本硝子営業課長の福田哲生さん(37)は「最高級の品質を追求する精神と姿に感動した」と目を見張った。富士ゼロックス画像形成材料開発事業部の銭谷優香さん(33)は「鉧出しでの村下(むらげ)(技師長)と村下養成員の団結がすごい。互いに成すべきことを承知し、あうんの呼吸で取り組む、ものづくりの理想だ。ああいう風に働きたい」と話した。

(2018年2月4日付 山陰中央新報掲載)

 

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