大館曲げわっぱ(秋田県)
大館曲げわっぱ(秋田県)
樺細工(秋田県)
樺細工(秋田県)
樺細工/制作風景(秋田県)
樺細工/制作風景(秋田県)
川連漆器/制作風景(秋田県)
川連漆器/制作風景(秋田県)
川連漆器(秋田県)
川連漆器(秋田県)

胸張って農業発信 地域再生大賞に大館市の「陽気な母さんの店」

台湾からの教育旅行生にきりたんぽの作り方を指導する「陽気な母さんの店」スタッフ(左)=昨年12月

秋田県大館市曲田の「陽気な母さんの店」が「第8回地域再生大賞」の大賞に選ばれた。生産者と消費者の気持ちが分かる「農家の母さん」の視点で、農産物直売所の経営を柱に、弁当宅配や民泊なども事業化。「売る」「食べる」「体験する」をキーワードに、行政の補助金に頼らず売上高を伸ばす仕組みを構築した。社長の石垣一子さん(64)は「安全安心な食材を提供するとともに、家庭の味や地域の文化も伝えていきたい」と話す。

安売りや生産者の顔写真でPRしない―。ひと味違う直売所は客足が途切れない。「責任を持ちおいしさと安心を売っている」と石垣さん。

店内に並ぶのは市内産の野菜や果物、それに総菜や漬物などの加工品。店頭には生産者10人が立ち「畑にも台所にも立つ農家女性ならでは」(石垣さん)という丁寧できめ細かな対応で買い物客に接する。

直売所に隣接する工房ではそば打ちやきりたんぽ作りを、近くの畑ではリンゴやナシのもぎ取り作業を体験できる。「体験交流型直売所」のスタイルを確立し、2016年の年商を過去最高の2億3千万円に伸ばした。

大館市曲田の国道103号沿いにある直売所

大館市をはじめとする県内の直売所は、収穫期だけ開く期間限定が主流。石垣さんらの常設店には反対もあり、行政の補助金が得られなかった。しかし「嫁だからと遠慮せず、胸を張って農業を発信したい」との思いを共有する女性農業者88人が出資して、2001年に営業を始めた。

全員が減農薬栽培に取り組み、買いやすいように商品は品種別にまとめ、棚の高さや色もこだわった。個人別に生産量や収穫時期をデータ化し、月ごとに緻密な販売計画を立てて初年度から年商1億円を達成。学校や福祉施設にも取引を広げ、10年からは8年連続で2億円を突破。15年に株式会社化した。

民泊や料理体験では修学旅行生や外国人旅行者らを積極的に受け入れている。世代間のギャップや言葉の壁に悩むこともあるが「相手を理解しようとすることが大切。生産者の苦労ややりがいを感じてもらいたい」と話す。

いま進めているのは、地元で採れた山菜の加工品開発。県外の大学の協力を得ながら、年内の商品化を目指している。「自分たちにできることはまだまだあるはず」と石垣さん。受賞を喜びつつ「大館をみんなの古里にしたい」。母さんたちの挑戦は続く。

(2018年1月28日 秋田魁新報掲載)


秋田スタイル 寒さに耐え、甘みたっぷり 寒じめほうれんそう、収穫盛ん