麦わら細工(兵庫県)
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豊岡鞄(兵庫県)
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レコード針2200種類 手作業

音楽の楽しみ方がインターネット配信に移行する中、レコードの人気が再燃している。そこでファンに注目されているのが、日本海に面した兵庫県新温泉町で操業する日本精機宝石工業。世界有数のレコード針メーカーだ。すでに生産中止となったプレーヤーの交換用として約2200種類の針を手作業で作り続けている。
長さ5ミリほどの針の先端に、幅0・25ミリ、長さ0・6ミリのダイヤモンドチップを埋め込み、ルーペで確認する。「最初は難しかったけれど、だんだんスムーズにできるようになってやりがいを感じる」。入社1年目の寺谷智佳さん(25)は根気の要る作業を黙々とこなし、1日800個を仕上げる。
新温泉町浜坂地域は、江戸末期には縫い針の産地として栄え、京都・西陣の織物産地でも重宝されるなど確かな品質で知られた。同社も縫い針メーカーとして1873(明治6)年に創業。「辛抱強い但馬人気質が、針を作る作業に向いていたのだと思います」と、3代目社長の仲川和志さん(54)は話す。
1949年には技術を生かして蓄音機の針作りを、66年にレコード針の生産を始めた。しかし、カセットテープやCDが普及するとレコード産業は斜陽化。交換針の需要も70年頃をピークに右肩下がりになった。
そこで進めたのが経営の多角化。目を付けたのが、CD用のレンズクリーナーだった。レコード盤は聴く前にクリーナーでほこりをとる必要があるのをヒントに、あらゆるCDプレーヤーを分解、切断して独自に開発した。CDだけでなく、DVDやブルーレイディスクにも応用。さらにダイヤモンドと金属を一体化する技術を生かし、切削工具や歯科用ドリルバーなども開発し、今では主力商品になっている。
レコード針も細々と生産を続けてきた。2010年に年間約10万本にまで落ち込んだが、欧州や北米の底堅い需要に支えられ、今では同約20万本にまで回復した。売り上げの9割が海外。従業員14人でフル生産しても追いつかないほどだ。7年ぶりに注文が入る針でも1本から手作りで対応する。但馬の地で、世界中のレコードファンを陰で支える。

 

(2018年1月31日付 神戸新聞朝刊掲載)

「JICO(ジコー)」のブランド名で世界110カ国に販売しているレコード針。女性社員が手作業で仕上げる=兵庫県新温泉町芦屋


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