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グンゼ苑の蔵(京都府)
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丹後ちりめん
丹後ちりめん(京都府)

丹後ちりめん、パリコレで脚光 新需要開拓へ過渡期

ガチャ、ガチャ―。京都市内では耳にする機会が少なくなった機織りの音が、京都府北部の丹後のまちでは今も響く。和装用白生地「丹後ちりめん」に代表される絹織物の国内最大の産地として、約300年間、歴史や文化を紡ぎ、地域経済を支えてきた。一方、時代の流れで生産量は減り、後継者不足の課題も抱える。「丹後ちりめん回廊」が日本遺産になったのを機に、丹後が誇る織物の世界を巡った。

丹後織物の素材で作った服が披露されたパリコレ(1月、フランス・パリ)=京都府丹後広域振興局提供

今年1月にフランスで開かれたパリ・オートクチュール・コレクション(パリコレ)。丹後ちりめんが素材のデザイナーズブランドの服がライトを浴びた。丹後の8業者が生地を提供し、和装独特の「八丁撚糸(ねんし)」など高い技術に基づいた繊細さが好評を得た。

丹後ちりめんの始まりは1720年。現京丹後市峰山町の絹屋佐平治が京都・西陣で撚糸技法を学び、丹後に持ち帰った。その後、現与謝野町の木綿屋六右衛門、手米屋小右衛門、山本屋佐兵衛も広め、基幹産業として発展した。
戦後、丹後は「ガチャマン景気」の追い風で絹織物の一大産地となり、年間生産量は1973年に920万反に達した。しかし、洋装普及などで需要は減少し、丹後織物工業組合の集計では昨年の生産量はピーク時の3%の31万反まで下落。また、京丹後市内の織物従業者の約8割が60歳以上で、事業所の9割超が後継者不足となっている。
苦境が続く中、海外への販路開拓が活発化している。パリコレの素材提供もその一環。夏物用白生地製造の安田織物(与謝野町)には、今秋のパリコレ用の素材提供の要望も寄せられ、同社は海外用の幅広生地を作る織機を導入した。安田章二代表(46)は「丹後織物は過渡期にある。新しい需要に応えたい」。
後継者確保と技術継承にも本腰を入れ始めた。府織物・機械金属振興センター(京丹後市)は昨年度、若者を対象に「入門」研修や、専門的な織機操作までを手ほどきする「長期」研修を新設。ちりめんはストール

丹後ちりめんの反物。「シボ」と呼ばれる生地面の凹凸がしなやかな風合いやしっとりとした光沢などを生む

やインテリアなどにも使われるようになっており、「デザイン系を強化するなど時代のニーズを踏まえた人材育成を進めたい」(小西和一郎所長)考えだ。
素材であるがゆえに、市民が丹後ちりめんを見る機会は少ない。工場見学を積極的に受け入れている田勇機業(同市)の田茂井勇人社長(53)は「丹後ちりめんは着物や日本文化を支える重要な産業。日本遺産認定で丹後のブランド力が上がり、若者が夢を持って織物業に携わってくれれば」と願う。

(2017年6月24日付夕刊 京都新聞 掲載)


京都スタイル ちりめん着物で和装の魅力アピール 京都・丹後でショー