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[技ひと夢紡ぐ ものづくりの現場から] 津軽塗(青森県弘前市) 多彩な図柄 表現無限 伝承 重要無形文化財に

【写真】砥石を手に、制作途中のお椀の柄を研ぎ出す今年人さん=弘前市

シャカ、シャカ、シャカ…。制作途中のお椀(わん)の柄を砥石(といし)で研ぎ出す音が工房に響く。赤や黒などの漆を重ね塗りした表面に、複雑で美しい模様が浮き出てくる。青森県弘前市の漆器職人、今年人さん(60)は青森県の伝統的工芸品「津軽塗」の制作に携わって45年。この日の作業は、50ほどある工程の中で最も重要な「研ぎ出し」だ。

中学卒業後、津軽塗の世界に入った今さん。全国各地で漆器が生産されているが「津軽塗の特長は、図柄の種類の多さ。手間をかければ、現代でも人気を集めるはず」と力を込める。

津軽塗の制作技術は今年7月、国の文化審議会の答申で、重要無形文化財に指定されることになった。漆芸分野では、個人を対象とした人間国宝を除くと輪島塗(石川県)に続き、40年ぶり2例目の指定となる。

漆器の装飾は、絵筆で描く花鳥風月の和文様などがあるが、津軽塗は「仕掛け」という凹凸の模様に、さまざまな色彩の漆を重ね塗りして研ぎ出す図柄が中心。「抽象パターンの模様が多く、表現を無限に変化させられる」と、弘前大教育学部の石川善朗教授(美術教育)は説明する。

江戸時代から明治時代にかけて制作された図柄の見本「手板」は500枚以上で、幾何学模様や花柄など多種多彩。時代の経過とともに作られる図柄の種類は限られてきたが、2001年から今さんら現代の職人でつくる「津軽塗技術保存会」が先人の考案した図柄を再現、重箱などを制作した。多様な塗りの技術の伝承が評価され、重要無形文化財の指定に至った。

【写真】先人が考案した図柄を再現し、津軽塗技術保存会が制作した重箱や花見弁当、大椀

津軽塗の生産額は生活様式の変化に伴い、ピークだった1984年度の21億4千万円から10分の1ほどに落ち込んでいる。津軽塗業界は今、デザインの多様さを武器に、欧州に活路を見いだそうとしている。

今年1月、弘前市がフランス・パリで工芸展を開いたほか、4月にはイタリア・ミラノで開かれたデザイン見本市にも出展。食器だけでなく、インテリアやアクセサリーへの活用が期待されている。

「手づくりの工芸品への関心の高さを肌で感じた」と手応えを得たのは若手職人の一人、小林正知さん(31)=弘前市=。津軽塗職人の家系で6代目の小林さんは、国内外での業界再興に向け「世界的に有名な見本市に出展し、津軽塗が広く評価されるようになれば」と未来を見据える。
(東奥日報社・鎌田秀人)

 

<津軽塗> 17世紀後半、当時の弘前藩主が産業振興のため、若狭国(福井県)の塗師(ぬし)らを招き、漆芸技術が発展した。卵白などを混ぜて粘性を高めた漆で基礎模様を作ったり、ナタネなどを蒔(ま)いたりして凹凸の仕掛けを施し赤や黒、緑などの漆を重ね塗りした後、模様を平面に研ぎ出す。漆を何度も塗るために手間がかかり、頑丈なことから「津軽の馬鹿(ばか)塗り」とも称される。

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