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[技ひと夢紡ぐ ものづくりの現場から] 大館曲げわっぱ(秋田県大館市) 憧れの道若手が奮闘 400年の歴史を受け継ぐ

【写真】おひつのふたの形を整える入社6年目の佐藤江里子さん

天然秋田杉が削り取られ、木の香りが漂う作業場で職人たちが黙々と手を動かす。秋田県大館市の伝統工芸品「大館曲げわっぱ」を製造販売する柴田慶信商店。入社6年目の佐藤江里子さん(25)も、質の高い商品を消費者に届けようと日々励んでいる。

岩手県花巻市出身。地元の高校を卒業し、同県立産業技術短期大学に進んだ。産業デザイン科で木工の基礎を学び、幼い頃から憧れていたものづくりの道を目指そうと準備していた。

だが1年生だった2011年3月の東日本大震災で、環境は一変した。未曽有の災害は岩手の産業界にも大打撃を与えた。年度が変わって就職活動を迎えたが職人としての求人がなく、県外に就職先を求めた。

同年秋、学校の紹介で柴田慶信商店を見学したのが転機となった。曲げわっぱに触れたのは、このときが初めて。「持ってみて軽さに驚いた。丸みのある形状に、かわいらしさと洗練さを感じた」。大館市に根付くこの工芸品の魅力に引き込まれ、入社を決めた。

 

【写真】大館曲げわっぱの飯切(後列左)とおひつ(同右)。前列は弁当箱

慣れない土地での新生活。だが、ものづくりに関わる喜びにあふれ、苦になることはなかったという。目を見張ったのは、熟練した職人たちの手さばき。少しでも追い付こうと仕事に打ち込んだ。

3年ほど前からは、おひつや飯切(はんぎり)を仕上げる作業を担当している。商品の使い勝手や耐久性に直結し、会社全体の信頼にも関わる大事な工程だ。この作業を託した柴田昌正社長(44)は「仕事に真面目に向き合う姿勢を見て、任せても大丈夫と考えた」と話す。

400年以上の歴史があるとされる曲げわっぱ業界で、後継者の育成は重要課題。柴田社長によると、熟練した職人たちが70代、80代でも活躍する一方で、50代は少ない。この世代は就職の時期がバブル期で、職人のなり手が少なかったという。

それだけに20代や30代の職人は、伝統を継承する上で貴重な存在。「若手が切磋琢磨(せっさたくま)することでより良い曲げわっぱが生まれ、お客さんに喜んでもらえるようになる」とエールを送る。

佐藤さんは、12年以上の実務経験が前提となる伝統工芸士の資格取得を目指している。今後も、ものづくりに責任を持って携わりたいからだ。「自分の曲げわっぱが実用品として長く使ってもらえるよう、妥協せず仕事に向き合っていく」と語った。

(秋田魁新報社・小林智彦)

<大館曲げわっぱ> 佐竹氏の移封(1602年)後、大館城代となった佐竹西家が領内の豊富な天然秋田杉を利用して下級武士の副業として奨励したのが始まりとされる。秋田杉の美しい木目を生かした製品は、弁当箱やおひつなどに使われ人気が高い。1980年に伝統的工芸品に指定された。

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