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[技ひと夢紡ぐ ものづくりの現場から] 人工合成クモ糸(山形県鶴岡市) 強く軽く伸縮性優れ 多分野で進む商品開発

バイオベンチャー企業・スパイバーの本社研究棟。国籍もさまざまな社員で活気にあふれている=山形県鶴岡市

米どころの山形県庄内地方にある城下町鶴岡市に「地方創生のモデル」として注目を集める研究・産業エリアがある。2001年4月、同市に拠点を構えた慶応大先端生命科学研究所の研究棟を起点に関連研究機関や企業が集積する「サイエンスパーク」だ。その一角に人工合成クモ糸の量産技術を世界で初めて確立したバイオベンチャー企業「Spiber(スパイバー)」が立地する。

同社は関山和秀代表執行役が2007年に起業した。強くて軽く、伸縮性に優れたクモ糸の主成分をベースとするバイオ素材「QMONOS(クモノス)」を開発し一躍脚光を浴びた。石油資源に由来しない地球環境に優しい素材としての特性も持つ。多くの研究者が量産化を果たせない中、新たなアプローチで「夢の繊維」を生み出した。

幅広い活用が期待できる新素材だけに大手メーカーとの共同研究、開発の動きも続く。15年に自動車部品メーカー小島プレス工業との合弁会社「Xpiber(エクスパイバー)」がサイエンスパーク内に研究棟を整備。これまでの試作研究棟の約6・5倍の広さがある延べ床面積6550平方メートルの鉄骨2階建てで生産能力の向上を図った。

サイエンスパーク内の研究棟にスパイバーの取り組みを紹介する展示スペース=山形県鶴岡市

スポーツ用品大手のゴールドウインと共同で手掛けるアウトドア用ジャケットの試作品、トヨタ自動車は高級車ブランド「レクサス」のコンセプトシートに同社の技術を採用するなど話題性に富む。石破茂地方創生担当相(当時)が昨年5月、慶応先端研と同社を視察に訪れ「世界最先端の技術を開発し学問を生かした地方創生のモデル。深い感銘を受けた」と称賛した。

「人類のために」とする強いメッセージを持つ企業理念や事業内容の先端性が求心力となり、国内はもとより海外からも広く優秀な人材が集まる。のどかな田園風景に囲まれた社屋は各フロアに明るい光が差し込む造り。仕切りのない広々とした空間は働きやすさを自然と演出する。約170人の社員のうち1割ほどが外国人といった事情もあり、英語対応が可能なスタッフを置く保育所を設けるなど安心して働ける環境づくりにも取り組む。

サイエンスパークでは現在、研究者やビジネス客向けのホテル建設のつち音が響く。慶応先端研の開設以来、一貫して所長を務める冨田勝氏は「鶴岡は典型的な地方都市。新産業をゼロからつくることで栄える成功例をつくり、日本中の地方都市の将来の手本になることを目指している」と語る。

(山形新聞社・佐々木亨)

<スパイバー> 2007年9月に設立。慶応大環境情報学部を卒業後、同大政策メディア研究科修士課程を修了した関山和秀氏が社長に就いた。関山氏は現在、代表執行役。社員数は173人で平均年齢は33・3歳(17年7月現在)。「新世代バイオ素材開発」を事業内容とするバイオベンチャー企業で資本金は151億円(資本準備金を含む)。山形県鶴岡市覚岸寺に本社を構える。

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