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[技ひと夢紡ぐ ものづくりの現場から] 高岡銅器(富山県高岡市) 梵鐘心和らぐ音追求 平和、復興の願い込める

梵鐘を磨く仕上げ工程の状況を確認する元井秀治社長(左)=富山県高岡市

金属の余分な出っ張りを取り除く職人たち。電動工具で表面を磨き、丁寧に作業を進める。仕上げているのは高岡銅器を代表する製品の「梵鐘(ぼんしょう)」。大みそかに全国各地の寺院で鳴らされる釣り鐘のことで、富山県高岡市戸出栄町の老子製作所が国内トップシェアを誇る。

「音を聞いて形も見れば、うちの梵鐘かどうか十中八九は当てられる」と胸を張るのは元井秀治社長(62)。長い余韻と程よいうなりを追求したつくりで、心身をリラックスさせる波長の「f分の1のゆらぎ」が音色に含まれている。

音は、口径や厚み、材料である銅とスズの割合、鋳型に流し込む際の温度などによって変化する。長年の経験と高い技術力で調整し、各寺院の要望に応じた音を導き出す。完成後は社員が現地に赴き、鐘楼につり下げて、鐘突き用の撞木(しゅもく)を取り付ける。設置完了までの徹底した仕事ぶりで信頼を集める。

江戸中期に高岡鋳物発祥地である金屋町で創業したと伝わる。明治初期に屋号を「老子」と定めた。第2次世界大戦中は金属類回収令のため軍艦の部品を作る軍需工場への転用を余儀なくされたが、戦後は本来の仕事である梵鐘や仏具製造に復帰した。1948年に法人化し、これまでに大小合わせて2万点以上の鐘を作った。

会社のシンボルといえる仕事の一つが、67年に鋳造した「平和の鐘」。広島平和記念公園に設置され、8月6日の広島平和記念式典で鳴らされている。戦争のない世界の実現を願う思いは、戦中戦後の苦難を乗り越えて社業をつないできた企業精神と重なる。

岩手県のJR釜石駅前にも平和の鐘とほぼ同じデザインの「復興の鐘」がある。市民団体の依頼で鋳造したもので、東日本大震災を受けて2011年12月に設置された。誰でも自由に鐘を鳴らせることから、震災復興ボランティアが活動前に立ち寄り、犠牲者に思いを寄せる場所として定着している。

国内需要の6割以上を生産する梵鐘メーカーに成長したが、会社全体の売上高に対する梵鐘の割合は3分の1程度だ。残りは仏具や建築金物で補っているが、元井社長は梵鐘づくりを会社の柱と考えている。

「梵鐘は日本人にとって信仰の対象。こんなに相手に喜んでもらえる製品はない」と重視しており「丁寧な仕事を心掛け、感謝と感動の循環を続けたい」と力を込める。真摯(しんし)な姿勢でものづくりと向き合い、伝統産業を未来へとつないでいく。

(北日本新聞高岡支社編集部・熊谷浩二)

<高岡銅器> 高岡開町の祖で加賀藩2代藩主の前田利長が、高岡市戸出西部金屋から鋳物師(いもじ)7人を金屋町に呼び寄せ、地場産業として推奨したことが始まりとされる。鉄製の鍋釜や茶道具などの製造を経て、江戸中期から仏具や花瓶などの銅器を手掛けるようになった。現在は国内銅器生産の大半を占めるほか、近年はアニメキャラクターの銅像も手掛けるなど製品の幅を広げている。

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