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丹後ちりめん
丹後ちりめん(京都府)

[技ひと夢紡ぐ ものづくりの現場から] 丹後ちりめん(京都府北部) 表面の凹凸感触良く 織り技術国内外で好評

さらりとした肌触り、しなやかな風合い。光沢も美しい。高級着物生地の代表格「丹後ちりめん」。染め上げると、豊かで深い色合いを演出する。江戸時代から約300年間、京都府北部・丹後地域で紡がれてきた純白の生地は、日本の和装文化を支えている。

丹後ちりめんの特徴を生み出すのは生地表面の凹凸「シボ」。よこ糸に撚(よ)りをかけた「撚糸(ねんし)」がもとになる。丹後で使われる湿式八丁撚糸機では、水を注ぎながら糸1メートルあたり3千~4千回の強い撚りをかける。

丹後ちりめんに使われる撚糸を作る湿式八丁撚糸機。強い撚りがシボを生み出し、心地よい肌触りを演出する=京都府京丹後市の田勇機業

生糸を釜で煮て柔らかくする「ぬきたき」、糸の管巻き、乾燥などの工程も経て、八丁撚糸ができあがるまでに約2~3週間。手間もコストもかかるが、田勇機業=京都府京丹後市網野町=社長の田茂井勇人さん(53)は「八丁撚糸を使うと高級感が出る。和装独特の技術で、海外での評価も高い」。

丹後は古代から織物産地だった。奈良時代には丹後産絹織物が朝廷に献上された。ちりめんの導入は1720年。多湿な気候風土が強い撚糸を作るのに適していたとされる。現在、和装用白生地や「西陣織」として流通する帯のそれぞれ約7割を生産している。

ただ、和装需要の低迷や少子高齢化で国内最大の絹織物産地も転機を迎えている。丹後ちりめんの生産量はピークだった1973年の3%(31万反)まで激減。糸の供給を受けて製織する「出機(でばた)」といわれる職人が高齢化で相次いで織物業から離れている。田茂井さんは「出機は高い技術を持っているが、後継者がいない。これ以上減ると産業、産地として成り立たなくなる」と危機感を募らせる。

厳しい状況の中、地域産業の基幹を担ってきた丹後ちりめんは今春に日本遺産に認定された。3年後には創業300年となる。それらを契機に産地再興の光明を見い出すには、「丹後織物の付加価値を高めていくことが重要」と民谷螺鈿(らでん)=同市丹後町=専務の民谷共路さん(48)は強調する。

同社は薄く削った貝殻を和紙に貼り、よこ糸と一緒に織り込んだ螺鈿帯を製造。従来の絹糸のみの帯とは違う輝きや素材感が国内外で高い評価を得ている。

着物の生地となる丹後ちりめんの反物。染め上げると豊かで深い色合いを醸し出す

民谷さんは語る。「織りの技術を生かしてイノベーションを起こす大切な時期に差し掛かっている。いにしえから織物を手がけ、今も産地として残る丹後の歴史や物語性はどこにもまねできない。そんな丹後の強みを生かしたい」
(京都新聞社京丹後支局・大西保彦)

<ちりめん> ちりめん技術は中国・明から大阪の堺、京都の西陣に伝わった。丹後には、西陣で学んだ現在の京丹後市峰山町の絹屋佐平治が導入。その後、滋賀の長浜などに広がったとされる。京丹後市と隣の与謝野町で生産される丹後ちりめんは「無地」と「紋」に大別され、今は紋が主流。着物のほか洋服やインテリア、カーシートなどの生地も手掛けている。


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