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[技ひと夢紡ぐ ものづくりの現場から]たたら製鉄(島根県奥出雲町) 玉鋼を全国の刀匠へ 3昼夜炉燃やし続ける

黒とオレンジ色の灼熱(しゃくねつ)の塊が姿を現した。炎をまとい、すさまじい熱量を放つ。国内で唯一、日本古来の製鉄技術のたたら製鉄を営む、島根県奥出雲町大呂の日本美術刀剣保存協会(日刀保)たたらで、砂鉄が溶けてできた塊を取り出す「鉧(けら)出し」。3昼夜操業した炉が解体され、日本刀の原料となる玉鋼を含む2・5トンの鉧が、固唾(かたず)をのんで見守る見学者らの前に姿を見せた。

日刀保たたらでは、粘土で築いた炉に砂鉄と木炭を交互に投入して約72時間、炉を燃やし続ける作業を、1月から2月初めに3回行う。技師長の村下(むらげ)と村下養成員の11人が担い、1回で砂鉄10トン、木炭12トンを使う。鉧を割って取り出した玉鋼を日本刀の原料として、日本美術刀剣保存協会(東京都)が全国の刀匠に供給する。

玉鋼はたたら製鉄でしかつくれず、その原理は最先端の科学技術でも解明できていない。奈良時代に編集された出雲国風土記に、奥出雲地方で鉄づくりが行われたことを示す記述がある。砂鉄と木炭、粘土などの材料は今も地産地消だ。

村下の木原明さん(82)は「1300年間にわたり、先人たちが創意工夫してつくりだした高度な技。世界でここしかない」と話す。日刀保たたらをはじめ、たたらに関する文化財は昨年、日本遺産に認定された。今年は同協会(東京都)がたたら製鉄を復活させてから40年の節目だ。

日本のものづくりの原点と位置付けられる操業は、若手技術者たちの注目を集める。パソコン製造など首都圏の製造業で働く社員でつくる「エンジニア志塾」の塾生が昨年に続き、今年も操業を見学。経験と勘を武器に過酷な作業に挑む村下らの姿に目を見張った。

たたら製鉄の歴史と文化は映像化され、5月から国内外で公開された。島根県出雲市出身の錦織良成監督(55)がメガホンを握り、人気音楽グループ・EXILEのHIROさん(48)がプロデューサーを務めた映画「たたら侍」。モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門で最優秀芸術賞を射止めた。

日刀保たたらに3年間通い詰めて撮影した錦織監督は「日本を世界に伝え、理解してもらうと同時に、日本人が日本を再発見してほしい」と話す。人の知恵と自然が織りなす荘厳な営みは、過去から現在、未来へと受け継がれていく。

(山陰中央新報社・引野道生)

<たたら製鉄> たたら製鉄の炎は大正期にいったん消え、戦時中に軍刀の材料を得るために操業されたが終戦で途絶えた。日本美術刀剣保存協会(日刀保)は全国各地の刀匠の要望を受けて、日本刀の原料となる玉鋼を再び供給することを目的に1977年、島根県奥出雲町大呂にたたらを復元し操業を始めた。同年、国の選定保存技術に認定。日立金属グループの技術協力で運営している。


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