淀江の和傘作り(鳥取県)
石州和紙(島根県)
津軽塗(青森県)
井波木彫刻の作品展高岡銅器の鋳物製造(富山県)
井波木彫刻の作品展(富山県)
若狭塗箸(福井県)
豊岡鞄(兵庫県)
天童木工(山形県天童市)
天童木工(山形県)
大館曲げわっぱ(秋田県)
大館曲げわっぱ(秋田県)
新潟県
鎚起銅器(新潟県)
加賀毛針(石川県)
加賀毛針(石川県)
丹後ちりめん
丹後ちりめん(京都府)

基幹産業支える技術力 日本海側の作り手たち

日本経済の最大の強みは何だろう。一言で表現すれば、長年にわたって培ってきた「ものづくり技術」に尽きる。

10紙共同企画「日本海スタイル」に登場した11府県の関係者らから、今後のものづくりにかける意欲や展望を語ってもらった。

◎津軽塗(青森県弘前市) 重文指定PRの好機 津軽塗伝統工芸士・佐々木柾勇喜さん(64)

津軽塗の制作技術は昨年、国の重要無形文化財に指定された。漆器としては輪島塗に続く2例目で、津軽塗を国内で知ってもらういい機会だ。津軽塗は多彩な色や仕掛けに絵筆を組み合わせることで、千変万化の文様が可能なので海外でも通用するはずだ。近年増えている訪日外国人にも、関心を持ってもらえるだろう。国内外だけでなく地元の若い人にもPRして、後継者の育成につなげたい。

◎大館曲げわっぱ(秋田県大館市) 材料の見極めに尽力 柴田慶信商店・佐藤江里子さん(26)

昨年秋から、製品を仕上げる作業を後輩に指導する役割を任された。最初は「自分でいいのだろうか」と戸惑いがあったけれども、これまでの仕事が認められたのだと受け止めている。伝統工芸士になる目標を実現するため、先輩から技術を学ぶとともに材料の良しあしを見極める目を養いたい。購入したお客さんから「買って良かった」と喜んでもらえる曲げわっぱを作り続けていく。

◎人工合成クモ糸(山形県鶴岡市) わくわくする場所に 慶応大先端生命科学研究所長・冨田勝さん(60)

(慶応先端研を起点に関連研究機関やベンチャー企業が集まる)サイエンスパークをわくわくできる場所にしたい。鶴岡に行けば、面白い人に会えるようなイメージができればいい。鶴岡が国内で「クリエーティブ(創造的)なビジネスを生み出す拠点」になることを目指す。Spiber(スパイバー)をはじめ先端研発ベンチャーはまだスタートしたばかり。成功例を示すことが大事になる。

◎鎚起銅器(燕市) 海外からの誘客目標 玉川堂社長・玉川基行さん(47)

東京に直営の青山店、銀座店を出したが、今後は海外に直営店を設けたい。いずれは燕市の本店に海外の人が来て鎚起銅器を買ってもらえるようにしたい。燕市の隣の三条市を含む燕三条地域を「国際産業観光都市」にできればと思う。玉川堂は工場を常時開放しており、そうした工場を増やし海外から人が訪れるまちにする。他の企業と協力しつつ、まちづくりで中心的な役割を担いたい。

◎高岡銅器(富山県高岡市) 文化財の修復に注目 老子製作所社長・元井秀治さん(62)

高岡市は銅器産業の集積地。青銅製品の取扱量や種類の多さは世界トップレベルだ。課題はブランド力の向上。伝統を守りながら、新しいことにチャレンジする必要がある。注目しているのは文化財の修復事業。高岡銅器業界は、東京芸術大や井波彫刻(富山県南砺市)などと連携して法隆寺の釈迦三尊像を再現した。昨年、一般公開があり、国内外の関心を集めた。高岡のPRにもつながった。

◎熱可塑性炭素繊維(石川県能美市) 商材の開発取り組む 小松精練・中山賢一さん(76)

日本の技術でしかできないものをつくりたい。高い技術を持つ企業と連携し、新たな商材の開発に取り組む。炭素繊維をねじってより合わせ、ロープ状にした建材「カボコーマ・ストランドロッド」は今夏、耐震補強材として日本工業規格(JIS)に認定される見通しだ。建材への活用は通過点にすぎない。将来は曲げに強い炭素繊維を開発し製造用ロボットのアーム部分への採用を目指す。

◎工芸サムライ(福井県) 堅いイメージを転換 七人の工芸サムライ代表・熊本雄馬さん(39)

「堅苦しい」などといった伝統工芸品のイメージを、もっと明るいものに変えていきたい。手軽に買えるお土産として、越前箪笥(たんす)など伝統工芸品の形をしたチョコレート商品の開発を考えている。今年は福井国体がある。来県した人たちにこういった商品で伝統工芸に親しんでもらい、将来的な販促につなげたい。企業の事務所の内装に伝統工芸の技術を取り入れる建築分野での取り組みも始める。

◎丹後ちりめん(京都府京丹後市) 若者に夢持たせたい 田勇機業社長・田茂井勇人さん(53)

丹後ちりめんは和装需要の衰退で生産量が減り、優れた技術を持つ職人の高齢化と後継者不足に直面している。しかし、湿式八丁撚糸(ねんし)など丹後で培われた技術は日本文化を支え、海外での評価も高い。2020年には丹後ちりめん創業300年を迎え、東京五輪・パラリンピックもある。織物産地の丹後を国内外に発信する絶好の機会を生かし、若者に夢を抱いてもらえる産業にしていきたい。

◎豊岡鞄(兵庫県豊岡市) 持ち主第一の姿勢を 鞄職人・植村美千男さん(84)

学生時代から鞄(かばん)づくりに携わって70年余り。今は全国から寄せられる壊れたかばんを修理し、再び息を吹き込んでいる。作ったものは人に持ってもらうことが第一。製造も修理も、時代ごとにデザインを変えるだけでなく、持ち主を思い、使い勝手や丈夫さを追求する姿勢を貫くべきだ。豊岡のかばんを支えるのは、そうした職人の技術と人格。それを守り、次世代に引き継ぎたい。

◎弓浜絣(鳥取県西部) 若手、ベテラン一体に 鳥取県弓浜絣協同組合理事長・田中博文さん(56)

弓浜絣(かすり)は、鳥取県西部で江戸時代から織り継がれる暮らしに寄り添った工芸品。藍色の地に白抜きした、多様な絵柄が特徴だ。高齢化で後継者不足に直面したが、県弓浜絣協同組合などが2007年から後継者養成研修を開き、若手生産者6人が誕生した。熊の人形など個性的な若手の作品も増え、心強く感じている。産地発展へ向け、若手とベテランが一体となり販路開拓や周知に努める。

◎たたら製鉄(島根県奥出雲町) 科学的な知識向上も 日刀保たたら村下・木原明さん(82)

千年の歴史がある「たたら製鉄」。(私が務める)村下(むらげ)は操業全ての責任を担い、歴代の村下が技を引き継いできた。後継者となる養成員を育成し、技術技能を磨くのはもちろん、3昼夜の操業をこなせるだけの体力づくりを行いたい。全国でたたら製鉄への注目度は高まり、学術的な質問を受けることも増えた。きちんと対応できる技術的、科学的な知識の向上にも努め、技を継承していく。

特集記事 [技ひと夢紡ぐ ものづくりの現場から]たたら製鉄(島根県奥出雲町) 玉鋼を全国の刀匠へ 3昼夜炉燃やし続ける