<自由席>漆工芸家 東日出夫さん(66)朝来市山東町 現代と伝統の美を融合

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六本木や銀座のミシュラン三つ星レストランから、器のオーダーが入る。そんな人気作家が夜久野高原の山あいにある、こぢんまりとした古民家に移り住んできたのは2013年のことだ。
錫(すず)を使った金属的な質感の蒔絵(まきえ)、古代中国の殷墟(いんきょ)文字や英字を採り入れた「落書きシリーズ」、虫食い痕を表現した彫り模様など、独創性の高い作品は伝統美と現代的な意匠を併せ持つ。「時代のニーズを先取りし『あなたのほしいものはこれでしょ』という姿勢でなければ、魅力あるものは生まれない。誰も作らないものを作らなければ」
東京出身。25歳の時、鎌倉の木彫漆器「鎌倉彫」の工房へ入り、数々の賞を総なめにした。作家として独立後は神奈川県逗子市を拠点とし、60歳を機に福島県会津若松市へ移住する予定だったが、東日本大震災で頓挫。代わりに探し当てた山東町金浦の古民家と環境が気に入ったという。
築70年を超す家の天井や梁(はり)には漆が使われている。金浦では昔、住宅の木材を長持ちさせるため住民自ら漆を塗ったらしい。朝来市はかつて「竹田塗」という漆器の生産で栄え、隣接の京都府福知山市夜久野町は漆の産地。不思議な縁を感じている。
修業時代は毎朝4時まで美術工芸書を読みあさった勉強家でもある。但馬のことを体系的に学ぼうと、昨年県立大大学院に入学。フォークアートによる地域振興に取り組む養父市大屋町を研究テーマとしている。息抜きは趣味のフットサル。

(2016年10月31日付 神戸新聞掲載)


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