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島根県に北斎作品1000点/三十六景や鍾馗図画業を網羅/研究第一人者・永田氏(津和野出身)寄贈

江戸時代を代表する浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849年)研究の第一人者で島根県津和野町出身の永田生慈氏(66)=川崎市=が島根県に、収集した北斎作品約1千点を寄贈する。県が22日、発表した。県立美術館(松江市袖師町)が収蔵する。同館の浮世絵は1500点超となり、総合美術館では全国有数の収蔵規模となる。

永田生慈氏が島根県に寄贈する作品のうち、葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景 凱風快晴」

葛飾北斎が若かりし頃に描いた肉筆画の「鍾馗図」

 

1千点のうち900点超が北斎の作品で他に弟子の作品がある。北斎が「春朗(しゅんろう)」と名乗った20~30歳代の時期の肉筆画「鍾馗図(しょうきず)」や、中国史にちなんだ最晩年の肉筆画「赤壁の曹操図」、風景版画の「冨嶽(ふがく)三十六景 凱風(がいふう)快晴」など傑作を多く含む。北斎の70年に及ぶ画業を体系的に網羅しているのが特徴で、専門の研究者ならではという。

永田氏は、浮世絵専門の太田記念美術館(東京都渋谷区)の副館長兼学芸部長などを歴任した。北斎の絵に魅力を感じ、小学3年の時から作品の収集を続けてきた。寄贈する1千点の評価額は最低でも十数億円という。

永田生慈氏

永田氏は1990年に出身地の津和野町に葛飾北斎美術館を開き、1千点の大部分を収蔵したが、浮世絵は光に弱く、展示や管理に手間が掛かるのが難題となり2015年に閉館。その後、収集品の管理が可能な施設として島根県立美術館に17年4月に依頼した。

著名な浮世絵収集家の故桑原羊次郎や故新庄二郎が松江市出身だったことも、施設選びの念頭に置いた。

永田氏は病気療養中で「半世紀にわたって思いを込めて収集したコレクションが収蔵され、多くの方に観覧いただけることは、この上ない栄誉で喜び」とのコメントを寄せた。

17年末までに作品が輸送され、県立美術館の開館20周年となる19年3月ごろに受贈記念の企画展を開催予定。

外国人客誘致の目玉に/島根知事観光面での効果期待

島根県津和野町出身で葛飾北斎の研究者・永田生慈氏が収集し続けた1千点にも及ぶ北斎作品が、島根県に寄贈される。外国人観光客を呼び込むインバウンド対策が課題になる中、溝口善兵衛知事は22日、定例会見で「観光などで大きな効果が期待できる。展示を通じ広くPRしたい」と喜んだ。

全国的に訪日外国人観光客が増えているが、山陰は知名度不足などもあって、十分な恩恵にあずかれていない。そんな中、日本的な情緒を豊かに残す城下町・松江の島根県立美術館に、永田氏が愛蔵した北斎作品の数々が運び込まれる。

浮世絵の海外での人気は、欧米を中心に今も絶大。北斎ともなればなおさらだ。1800年代中頃に日本から欧州へ陶器が持ち込まれ、その緩衝材用の紙に描かれていた浮世絵が、絵画技法に行き詰まっていた欧州の画家たちに衝撃を与えたという。その描き手こそ北斎だったと伝わる。

永田生慈氏が寄贈する葛飾北斎の浮世絵作品の魅力を語る島根県立美術館の大森拓土主任学芸員=松江市殿町、島根県庁

「北斎は風景画が有名だが、描いていたのはほんの一時期。森羅万象、何でも描き続けた」と、同美術館の大森拓土主任学芸員は強調する。同館は現在、北斎や歌川広重ら550点の浮世絵を収蔵する。今回の寄贈で約3倍増となり、浮世絵は「売り」となる。

一方で、繊細で傷みやすく、1カ月以上は展示できないという。現在、病気療養中の永田氏もこの点を考慮し、作品保護に実績のある同館に、思いの詰まった自身の宝物を託した。

(山陰中央新報 8月23日付)


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